[文献紹介]ビカクシダ実生期の施肥が成長に与える影響
ここではシダ植物に関する文献を日本語で紹介していきます。最後に引用をつけておきますので必ず原著論文を参考にしてください。
”THE EFFECT OF FERTILIZER ON GROWTH OF STAGHORN FERN AT SEEDLING STAGE”
Sawat Pimsuwan et al. 2016
タイトルにあるビカクシダですが使用しているのはコロナリウム(Platycerium coronarium)のようです。実生期ということで胞子体が数cmのものを実験対象としています。
このコロナリウムの実生をいくつかにわけ、21-21-21の固形肥料1−3g/Lと液体肥料のbiofertilizer(生物由来の葉面散布型肥料みたいですが詳細がわからない)1−3mLをやって葉の成長をみたよというものです。
結果は水だけをやったものが葉の枚数や大きさなどの成長が良かったとのこと。
著者らは肥料の成分、特に窒素がコロナリウムに対して毒性を示したのではないかと考えているようです。特にアンモニアガスや尿素のビウレット(Biuret)の悪影響があったのではないかと考察されています。
これらの窒素由来位の成分について調べてみるとアンモニアガスは高pHで尿素や有機物が分解されると発生し、ビウレットは尿素造粒工程にできるそうででどちらも種子植物に障害を及ぼすとのこと。
この論文では明らかな障害が出たわけではないようですが。胞子培養の時に尿素の利用には注意したほうがいいのかもしれません。
[引用]
Sawat Pimsuwan et al. THE EFFECT OF FERTILIZER ON GROWTH OF STAGHORN
FERN AT SEEDLING STAGE
International Journal of GEOMATE, Dec., 2016, Vol. 11, Issue 28, pp. 2879-2882
Special Issue on Science, Engineering and Environment, ISSN: 2186-2990, Japan